
「私の場合、何回くらい通えば良くなりますか?」
問い合わせでこう聞かれたとき、
あなたはどう答えていますか?
「症状によりますが、5回から10回くらいですかね」
早く安心してもらいたくて、つい回数を伝えてしまう。
予約へのハードルも下がりそうですし、悪い対応をしている感覚はないですよね。
ただ、この場面で安易に回数を言い切ると、来院後の説明が難しくなります。
なぜなら、その時点では相手の体を確認できていないからです。
どこに原因があるのか。
生活の中で何に困っているのか。
どれくらいの頻度で通えるのか。
何も分からない状態で出す回数は、どうしても「予想」になります。
今回は、問い合わせで通院回数を聞かれたときに、なぜ即答しないほうがいいのか。
そして、何を伝えれば来院につながり、その後の再来にもつながるのかをお話しします。
「とりあえず5回」が、その後のズレを作る
回数を聞く人が本当に欲しいのは、数字そのものではありません。
「ちゃんと良くなるのか」
「無駄に通わされないか」
「自分の悩みを分かってもらえるか」
こうした不安をなくしたいわけです。
でも、状態を見ていない段階で「5回くらいです」と答えると、相手はその数字を基準にします。
そして初回の確認後、もし必要な期間や頻度が変わったらどうでしょうか。
「問い合わせでは5回と言われたのに」
「最初から回数券を売りたかったのかな」
そんなふうに受け取られる可能性が出てきます。
もちろん、あなたにそんな意図はないはずです。
ただ、安心を急いで渡そうとするほど、来院後の説明とのズレは大きくなります。
ここで信頼を落とすと、施術がどれだけ良くても、次回の予約は取りづらくなります。
新規を集めても続かない院は、この最初の期待値が合っていないケースが少なくありません。

先に伝えるべきは、回数ではなく判断の流れ
では、どう返せばいいのか。
結論から言うと、回数を約束するのではなく、「何を確認してから決めるのか」を伝えるべきです。
例えば、こうです。
「今の状態をきちんと確認してから、通うペースや必要な期間をお伝えしています。まずはお体を見させてください」
これで十分です。
さらに不安そうな方には、こう続けてもいいでしょう。
「確認した上で、なぜ今の状態になっているのかと、どう進めるのが良いかを分かりやすくお伝えします」
この返し方なら、曖昧に逃げているわけではありません。
むしろ、一人ひとりを見ずに同じ答えを出さない院だと伝わります。
初回で必要なのは、技術を見せることだけではありません。
「なぜ、ここに問い合わせようと思ったのですか?」
この質問で、症状の奥にある困りごとを聞いてください。
仕事に支障があるのか。
趣味を楽しめなくなったのか。
このまま悪くなるのが怖いのか。
そこまで分かって初めて、その人に合う通い方を一緒に考えられます。
確認した内容を見える形で伝え、理由と計画をセットで説明する。
そうすると通院回数は、「院長に言われた数字」ではなく、「自分に必要なプロセス」に変わるわけです。

計画は、伝えて終わりではない
初回で計画を共有したら、あとはその計画を一緒に確かめていきます。
2回目には、こう聞いてください。
「前回から今日までで、何か変わったことはありませんか?」
大きな変化でなくて構いません。
朝が少し楽だった。
座っている時間が長くなった。
前より不安が減った。
こうした小さな変化を共有することで、「自分のための計画なんだ」と感じてもらいやすくなります。
3回目には、
「今回で3回目ですが、通ってみていかがですか?」
と聞き、計画が今の状態に合っているかを確認します。
一方的に決めた通い方ではなく、状況に合わせて進めていると伝わるからです。
その後も関係性を深めながら、5回目あたりで「今後の通い方はどうされますか?」と選択肢を渡す。
無理に囲い込む必要はありません。
相手自身が、自分の未来のために通い方を選べる状態を作ることです。
集客と再来は、別の仕事ではありません。
問い合わせの一言から、初回、2回目、3回目までの会話は全部つながっています。
明日から、回数を聞かれたら数字を急いで出さないでください。
まずは「確認してから、一緒に計画を決めます」と伝える。
その一言が、値下げや強引な提案に頼らず選ばれ続ける院を作る、最初の導線になります。


