
「60分の施術なら、このくらいの料金が普通かな」
「近くより高くしたら、予約が減るかもしれない」
料金を決めるとき、こんなふうに考えていませんか?
もちろん、周辺の相場を見ることは必要です。
ただ、相場だけを見て「60分いくら」で決めてしまうと、ひとりで院を回している院長ほど苦しくなります。
施術中はずっと動いている。
予約が入れば安心する。
でも、月末に数字を見ると、思ったほど利益が残っていない。
「こんなに働いているのに、なんでだろう……」
となっているなら、料金の中に入っていない時間が多すぎるのかもしれません。
今回は、施術料金を見直すときに必ず考えてほしい、「施術の前後に使っている時間」についてお話しします。
60分施術の前後にある「無料の仕事」を見落としていませんか?
お客さんの施術が60分だったとしても、あなたがその1件に使っている時間は、本当に60分だけでしょうか?
来院前には、院内の準備があります。
前回の記録を確認する時間もあるでしょう。
施術後には、記録を書く。
タオルを片付ける。
ベッドまわりを整える。
会計や次回予約の確認をする。
場合によっては、連絡への返信も必要です。
こうした作業は、施術の外側にあるようで、実際にはお客さんに価値を届けるために欠かせない仕事です。
それなのに、料金を「60分の手技の値段」としてしか考えていないとどうなるか。
準備も、記録も、片付けも、予約管理も。
あなたが使っている時間だけが、経営上は無料になってしまいます。
忙しいのに利益が残らない院は、この状態になっていることが少なくありません。
予約表は埋まっている。
それでも事務作業は夜に回る。
休みの日も連絡を返す。
これでは、施術を増やすほど自分の時間がなくなっていきますよね。

「時給で働く人」の感覚のままでは、経営は苦しくなる
独立したばかりの頃は、まず予約を埋めることが最優先です。
不安だから料金を下げる。
少しでも来院のハードルを下げたくなる。
その気持ちはよく分かります。
ただ、その料金のまま予約数だけを増やしても、利益が残るとは限りません。
むしろ、施術以外の仕事まで増えて、さらに時間が足りなくなることもあります。
ここで持つべき視点は、自分を「施術した時間だけ給与が出る人」として扱わないことです。
あなたは、施術だけをしているわけではありません。
院を整え、予約を管理し、お客さんの経過を確認し、次も安心して来てもらえる状態を作っています。
料金は、そのすべてを続けるために必要なものです。
無理な値下げや、強引な回数券の提案で数字を合わせる話ではありません。
準備から来院後の対応まで含めて、自分が提供している価値を見直す作業です。
経営は感覚ではなく、身につけるスキルです。
技術に自信があっても、料金設計が合っていなければ、体力と時間だけが削られていくわけです。

料金を見直すために、明日やること
難しい計算から始める必要はありません。
まずは、1人のお客さんに対して発生している「施術以外の作業」を書き出してください。
【書き出す項目】
・来院前の準備
・前回記録の確認
・施術後の記録
・片付け、洗濯、清掃
・会計、次回予約の対応
・連絡への返信
・予約管理
次に、それぞれにどれくらい時間を使っているかを確認します。
ここを見ないまま料金を決めると、実際の時給は自分が思っているより低くなっているかもしれません。
そのうえで、週に何人までなら、無理なく施術と院の運営を続けられるかを考えましょう。
「予約が入るだけ入れよう」ではありません。
3年後も、5年後も続けられる人数を先に決めるべきです。
必要な売上と、無理なく対応できる人数が見えれば、目指すべき料金は逆算できます。
今の人気や、近隣の料金だけで決めないことです。
自分が疲弊せず、院を続け、お客さんと丁寧に向き合える数字から考えてください。
施術時間だけで料金を決めると、働くほど苦しくなります。
まずは明日、施術の前後にやっている仕事を全部書き出してみましょう。
その「見えていなかった時間」を把握することが、体を削るだけの経営から抜け出す最初の一歩になります。


